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2018/12/16

ユヅルのほうがスケートが上手!プルシェンコが語る羽生結弦の実力

 

皇帝エフゲニー・プルシェンコへの謁見は11月初旬のこと。
もう粉雪が舞う晩秋のモスクワである。

 

彼が昨年4月に開校した「プルシェンコ・アカデミー」の
(正式名称はエフゲニー・プルシェンコ・フィギュアスケート・アカデミー
“エンジェルス・オブ・プルシェンコ”
)
リンクサイドでのインタビューでのことだ。

 

羽生結弦の今シーズンのフリーOriginは、
プルシェンコの伝説的プログラム
ニジンスキーに捧ぐの楽曲を使用したものだ。
羽生少年が本格的にフィギュアスケートを志すきっかけとなった、
憧れの存在へのオマージュである。

 

羽生のプログラムはプルシェンコの目にどう映ったのか、
1時間にわたって話を聞くことができた。

 

2003年~2004年シーズンがどんな時期であったかといった背景も含め、
ニジンスキーに捧ぐが完成するまでの経緯や、
自身の競技人生の中でいかにこのプログラムが大切なものであるか、
想いを熱く語ってくれた。

 

そして話は、なおも挑戦を続ける羽生へのエール、
さらに、感謝の気持ちを伝えるまでに及んだ。
羽生への愛情を言葉の端々に感じるものだった。

 

プルシェンコとユヅルの共通点

 

インタビューの中でプルシェンコは、
羽生に対してある提案もしており、
その後の話はフィギュアスケートの未来へと
つながっていくものだった。

 

その言葉からはプルシェンコの『ニジンスキーに捧ぐ』にかける想い、
そして羽生の実力を心から認めていること、
また後継者たる羽生にフィギュアスケートの
未来を託していることが伝わってきた。

 

実際、プルシェンコは羽生にシンパシーを感じている。
2人が似ていると思うところはどこか訊ねたときのことだ。

 

「私とユヅルの共通点はたくさんあります。
我慢強く最後まであきらめないところ、
リスクを恐れず挑戦するところ、
自由を好むところ、
インプロビゼーション(即興)を楽しめるところ。」

 

 

彼の方がスケートが上手

 

反対に、似ていないところを訊ねると、
「彼のほうがスケートが上手なことかな」とポツリ言った。
てっきり冗談を言っているものだと思っていたが、
本人はいたって真面目な表情だ。

 

「冗談ではありません。
つまり、フィギュアスケートは、
つねに進化しているということです。
それが、本来あるべき姿です。
自動車がどんどん便利になっていくように。
今ではみんながスマートフォンを使いこなしているようにね。」

 

そしてフィギュアスケートの練習環境についても同様だと言う。

 

「ソ連時代のスケートリンクはとても寒い。
子どもの頃は厚手の毛糸の帽子をかぶって、手袋をして、
ぶるぶると震えながら練習していたものです。
それがどうですか。今の子どもたちは恵まれています。
過去から現在まであらゆる選手のスケートを、
手軽に動画で見て研究することもできます。
息子のサーシャもユヅルのビデオをよく見ています。」

 

 

ユヅルが世界最高の選手です。

 

息子をはじめ生徒たちには、
羽生のジャンプをお手本に練習させていると言う。

 

「私はもうお手本じゃありません。
なぜなら時計の針は進んでいるからです。
今この瞬間、ユヅルが世界最高の選手です。
間違いなく彼こそが本物のフィギュアスケーターです。
しかし、ひとつだけ弱点がある。
今は言いません。
シーズンが終わったときに彼に直接伝えようと思っています。
言いかえれば、
彼にはまだまだ可能性が残されているということです。」

 

技術的なことかメンタル的なことかヒントを求めると、
「それは秘密」と言ってウィンクしてみせた。

 

そしてプルシェンコは、
リンクで練習している息子を呼び寄せ言った。

 

「サーシャ、おいで。この人は日本人だよ。
日本語であいさつしてごらん」と父親に促されると、
サーシャ君は「コンニチワ」と言って握手してくれた。

 

そして再びリンクに戻ると、
羽生直伝のヘランジ、ハイドロ、イナバウアー、
アクセルジャンプを次々と披露してくれ、
思わず仕事を忘れ、立ち上がって拍手してしまった。
天使のような笑顔に、5歳とは思えない身のこなし。
将来が楽しみでしかたない。

 

 

私財をなげうったアカデミー

 

自身のアカデミーのことについても話を聞いた。

 

2017年4月にオープンしたフィギュアスケート学校。
メダル姿のプルシェンコの、
巨大なパネルが5枚掲げられたスケートリンクだ。

 

以前訪れたアリーナ・ザギトワの所属する、
サンボ70フルスタリヌィが牧歌的な雰囲気であるのとは対照的に、
こちらはとても豪華である。

 

建物の2階は、雰囲気あるレストランになっていて、
窓からリンクを眺め渡すことができる。
プルシェンコの奥様ヤナ・ルドコフスカヤさんの姿もあり、
息子の練習を見守っていた。

 

有力者の子どもたちも練習に通っているとのことで、
駐車場には運転手付きの高級車がずらりと並ぶ。
開校当初は高額な授業料といった、
やっかみのような報道も一部あったのだが、
それでも私財を投じて、
ここまでの規模の運営ができていることはすごいことだ。

 

そこはやり手プロデューサーたる、
ヤナさんの手腕によるところが大きいのだろう。

 

現在は101名が所属している

 

経営も軌道に乗ったようだ。
プルシェンコは「現在は101名が所属しているんです」と、
生徒のリストをうれしそうに見せてくれた。
次のステップとしてスケートリンクをもうひとつ増設するという。
現在のリンクは幼児向けとし、
新しく建設するリンクはトップ選手専用にする計画だ。

 

大会に出場するトップ選手としてはジュニアの2人だけだが、
うちひとりは今年エテリ・トゥトベリーゼコーチの元を離れ、
移籍してきたアナスタシア・タラカノワである。
12月のジュニアGPファイナル出場を決めている。

 

「来年はアイスショーへの出演はなるべく控え、
コーチ業に専念しようと考えています。
そして来シーズン、有名選手が何人かやってくる予定です。
ちょっとしたセンセーションになると思う。」

 

「もしかして〇〇〇〇〇ですか」と、
選手の名を挙げようとしたのを察してか、
「それ以上は秘密」と先手を打つプルシェンコ。
ウィンクも忘れない。
正式な発表を楽しみに待つことにしよう。

 

 

羽生結弦

 

羽生結弦(はにゅう ゆづる)1994年12月7日生まれ
宮城県仙台市泉区出身
フィギュアスケート選手(男子シングル)

 

全日本空輸(ANA)所属。
早稲田大学人間科学科(通信教育課程 eスクール)在学中。

 

 

主要な戦績

 

2014年ソチオリンピック、
2018年平昌オリンピック2大会連続優勝(男子シングル種目で66年ぶりの2連覇)。

 

2014年世界選手権、
2017年世界選手権2回優勝

 

グランプリファイナル4連覇(2013年~2016年)。

 

全日本選手権4連覇(2012年~2015年)。

 

世界ランキング1位(2013年10月~2018年4月)。
2018年11月現在2位

 

ISUジャッジングシステムのもと開催された国際大会において、
史上初めてショートプログラムで100点、
フリースケーティングで200点、
トータルスコアで300点超えを達成した

 

世界記録は2012年から2018年の間に15回更新
『レコードブレーカー』と称されている。

 

GOEシステム時代におけるショートプログラムでは、112.72点、
フリースケーティング223.20点、
トータルスコア330.43点。
世界歴代最高得点の歴史的記録保持者。

 

スケート技術・特徴

 

ジャンプ・スピン・ステップの全方位に秀でたオールラウンダー。

 

ジャンプの特徴

 

①準備動作が少なくても、直ちに跳ぶことができる。

 

②踏み切りから着氷後の流れまで美しく跳び幅があるため、
GOE(出来栄え点)加点を得るための、8つの評価要素を全て満たす
質が高いジャンプ。

 

③このためクリーンに跳ぶと、GOE満点となる3点(現在は5点)、
または、満点に近い高い加点を獲得する。

 

③試合では4種類の4回転ジャンプ
(トウループ、サルコウ、ループ、ルッツ)を跳ぶ。

 

④最大の武器は確実に加点の付くトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)。

 

これは質の高さに加え、

踏み切り直前に「カウンター」と呼ばれる難しいターンを行う。

両足のつま先を外側に向けたスプレッドイーグルから踏み切る。

着氷後に即イーグルに戻る等。

 

ジャンプへの入り方や、出方の難度の高さなどからも、
常に2〜3点のGOEがつき、
トリプルアクセルだけで確実に11点以上の点がつく

 

特に基礎点が1.1倍となる演技後半に組み込んだ、
トリプルアクセルからの連続ジャンプは、
めったにミスをしないことから、
4回転以上の強力な得点源となるわけだ。

 

このように、基礎点の高い高難度のジャンプ構成を成立させた上で、
各要素を確実に高い質で決めるため、
高いGOE評価を獲得する。

 

この完成度の高さが、言うまでもなく羽生の強さである

 

【例】

世界記録を塗り替えた2015年グランプリファイナル
20.18点の加点(当時の4回転トウループの基礎点は10.3点)。

 

なんと、これは加点だけで4回転ジャンプ2本分の基礎点に匹敵する得点を、
獲得していることになる。

 

 

フリップについて

 

踏み切りがアウトサイドになる癖があるため、
エッジエラーの判定を受けることがある。

 

2011年~2012年シーズンより、
しばらくエラー判定は無くなったが、
2018年ロステレコム杯では、
再び踏切違反の判定を受けている。

 

スピンの特徴

 

①スピンの技術も、完璧にレベルを満たせば、
高い加点を獲得する。

 

②元々、スピンの速さとポジションの美しさに加え、
回転しながら指先や腕などを動かすことで、
オリジナリティーを出し、
プログラムの構成難易度を上げている。

 

③特に、柔軟性の高さを生かしたビールマンスピンや、
ドーナツスピンなどを、積極的に演技に取り入れている。

 

④レイバックイナバウアー、ハイドロブレーディングも得意で、
多くのプログラムに入れている。

 

⑤シットスピンは2017年のオータム・クラシックにおいて、
史上初となる満点の加点を獲得している。

 

4回転ジャンプ

 

ISUによる略称ジャンプ

T トウループ
S サルコウ
Lo ループ
F フリップ
Lz ルッツ
A アクセル

 

試合では4種類の4回転ジャンプ、
トウループ・サルコウ・ループ・ルッツを、
プログラムに組み込んでいる。

 

4回転ループ

 

①アイスショーやエキシビションのフィナーレなどにおいて、
4回転ループ-3回転アクセルを着氷して跳んでいたが、
2016年~2017年シーズンより、競技に取り入れている。

 

②2016年9月30日に、モントリオールで開催された、
「オータムクラシック」のショートプログラムで、
国際スケート連盟(ISU)公式の国際大会において、
史上初めてクリーンに成功させている。
()2016年10月2日、ローザンヌにて公式に認定)

 

4回転ルッツ

 

公式練習でも着氷していたが、
「2017年のロステレコム杯」のフリーより、
プログラムに組み込み、公式戦初挑戦で成功させた。

 

4回転フリップ

 

4回転フリップは、公式練習で挑戦しているが、
試合には、組み込んでいない。

 

4回転アクセル

 

幼い頃に従事していた都築章一郎コーチから、
「アクセルは王様のジャンプ」と教わり、
自身がアクセルジャンプを得意としていることからも思い入れが深く、
「将来的には必ず4回転アクセルを跳びたい」と常に語っている。

 

平昌五輪後の挑戦を示唆していたが、
2018年~2019年シーズンより、
実戦への投入を目標に練習中。

 

他に、4回転の連続ジャンプにも挑戦している。
2017年国別対抗戦のフリーにおいて、
4回転トウループ - 1回転ループ - 3回転サルコーの、
3連続ジャンプを初めて成功させた。

 

2018年フィンランド杯のフリーで、
こちらも史上初となる、
4回転トウループ - トリプルアクセルの、
コンビネーションを成功させている。

 

 

エフゲニー・ヴィクトロヴィチ・プルシェンコ

 

ロシア語 Евге́ний Ви́кторович Плю́щенко Ru-Evgeni Viktorovich Plushenko.ogg
英語 Evgeni Viktorovich Plushenko
ロシア語ラテン翻字 Yevgeniy Viktorovich Plyushchenko
1982年11月3日生まれ

 

ロシアの男性フィギュアスケート選手(男子シングル)。

 

主要な戦績

 

2006年トリノオリンピック金メダリスト。

 

2002年ソルトレークシティオリンピック、
2010年バンクーバーオリンピック銀メダリスト。

 

2014年ソチオリンピック団体戦金メダリスト。

 

世界選手権優勝3回、
欧州選手権優勝7回、
グランプリファイナル優勝4回。
グランプリシリーズ通算22勝。

 

ロシア連邦功労スポーツマスター。
ロシア人名愛称ではジェーニャ。

 

旧採点及び、新採点の両方でオリンピックメダルを手に入れた、
唯一の男子フィギュアスケート選手。

 

-フィギュアスケート
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